多世代の居場所づくりに取り組む人/山田 輝子さん

米原市には子どもから高齢者まで、立場や年齢を超えて人が集う場所があります。
日々の暮らしの延長にあり、誰もが自分のペースで関われる「居場所」です。

長女の不登校をきっかけに「不登校親の会」を立ち上げた後、地域の不登校の子どもや、退職後の居場所・生きがいを探している人たちなど、世代を超えて交流できる場所として「多世代交流ハウス・ぷらっとほーむ」を開いた山田 輝子(やまだ あきこ)さん。
今回は、活動を始めた背景や大切にしている思い、そしてこれからの関わりしろについてお話を伺いました。

「長女が小学2年生の頃から、ちょっと行き渋りとか教室に入れなかったりっていうのがあったんです。」

母として子どもの行き渋りにどう関わるかを悩む中で、長浜市で不登校の子どもや保護者を支える団体と出会いました。

「不登校の子どもやその親の会をされている『にじっこ』さん、『cotton〜こっとん〜』さんの場に参加させてもらって、そこで同じ立場の親同士で気持ちを話せたんです。子どものことも自分のことも、そのまま受け止めてもらえて、思いを共感し合える場所っていうのがあってよかったなって思いました。」

その経験を通して、考え方が大きく変わったといいます。

「親がどうにかしなあかん とか、ちゃんとさせなあかん じゃなくて、子どもを一人の人として見ていいんやって思えるようになりました。親子で上下関係をつくらない、という考え方を教えてもらってこれまでの考え方が180度変わりましたね。」

それと同時に、“こんな場所が米原にもあったら”という思いが芽生えていきました。

「社会福祉協議会の方々の協力を得ながら、私自身も米原で不登校親の会「relief〜リリーフ〜」を設立し、市内で月1回お茶会を開催しています。
でも、悩み事を1ヶ月間ずっと持ち続けてそこで喋るっていうよりは、何かあったときにいつでも行ける“常設の場所”があったらいいなと思ったんです。それから居場所づくりに向けて動き出すことにしました。」

居場所づくりを考える中で、山田さんは空き家を探し始めます。
まいばら空き家対策研究会(現:NPO法人滋賀・まいばら空き家対策会)を通じていくつかの物件を巡る中で、現在の築200年の空き家と出会いました。

「家自体もそうですけど、周りの環境もすごく好きで。地区の真ん中に在るんですよね。ここなら地域の子どもも集まれるな、って感じたんです。」

当初は、不登校の子どもや保護者の居場所として考えていた場所でしたが、準備を進める中で考えが少しずつ広がっていきます。

「居場所ができて、不登校だけに限定するのはもったいないなって思うようになりました。介護福祉士の資格も持ってるので、子どもだけでなく多世代が交流できて、結果的に介護予防にもつながるような場所になったらいいなって。子どもも大人も、立場関係なく関われる場所をつくりたいと思いました。」

こうして構想は広がり、2023年6月、「多世代交流ハウス・ぷらっとほーむ」がオープンしました。

ぷらっとほーむでは、体操教室や子ども食堂、お弁当の配達や販売、事前予約制のランチ、「営業中」の看板が出ていれば誰でも立ち寄れるカフェなど、無理のない形で関われる活動を行っています。

「子ども食堂は月に2回、第1・第3金曜日にやっています。保護者の方も一緒に来てもらって大丈夫。いろんな人と話したり、食べたりできる場所になればと思っています。」

毎月第2・第4金曜日に開催している晩ごはん会には、独居の高齢者や独身の男性などさまざまな人が参加します。

「開催しようと思った理由は、わたしの子どもたちがこれからバイトや部活を始めたら、一人の時間が増えるなって気づいたからなんです。だから、その予防です!(笑)。一人になっても、みんなで集まってごはんを食べられる環境を、今のうちに整えておきたくて!」

「家庭料理しかできないし特別なものは作れないんですけど、地元で採れた季節の野菜を使って、しっかり元気になってもらえたらいいなと思っています。体は食べたものでできてますからね。」

料理は大皿に盛り付けバイキング形式で提供し、それぞれが自分の食べたい量をお皿に取っていただきます。

「隣に座った人と自然に会話が生まれるんですよね。食を囲むと、構えずに話せるのがいいなって思います。メニューは毎回私の食べたいものがメニューになっています(笑)。」

日々の活動を続ける中で、さまざまな場面で人の手が必要になることがあります。

「子ども食堂の見守りや、草むしりなどの環境整備、大口のお弁当の注文が入ったときのお手伝いなど、少し手を貸してもらえると助かる場面は正直あります。でもまずは、ぷらっとほーむで開催されるイベントに参加してみたり、カフェを利用してもらったりして、この場所の雰囲気や、集まっている人たちとの関わり方を見てもらえたらと思っています。」

その中で、自然と「これならできそう」と感じたことが見つかれば、それがその人なりの関わり方になります。
山田さんは最後に、こんな思いを話してくれました。

「10年後くらいに、自分の理想が叶っていたらいいなと思っていて。今ここに通ってくれている子どもたちが大人になって、『ただいま』って帰ってこれる場所であってほしいんです。みんなの実家みたいな場所ですね。
そのためにも、一人でつくる居場所じゃなくて、関わってくれる人たちと一緒に、少しずつ育てていけたらと思っています。」

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